『ゆうちゃん』

 かれこれ40年程前、私が中学生の頃、私を含む同級生の女子4人で「交換日記」をしていたことがある。

 

 その中で私が一番親しかったのは、ゆうちゃんだった。 

ゆうちゃんは、明るく、活発で、運動神経も良かった。 まるで私とは正反対な感じで、自己表現が苦手だった私は、天真爛漫なゆうちゃんをいつも羨ましく感じでいた。

 

 その後、私達は別々の高校へ進学することになり、それ以降、殆ど連絡は取らなくなってしまった。

 

 月日は流れ、三十路を越えた頃、私は相変わらず独身で、自宅で両親と暮らしながら、派遣社員として自分なりには頑張っていた。

 

 ゆうちゃんと偶然バッタリ出会ったか、突然連絡があったのかは忘れてしまったが、私達は随分久しぶりに再会した。

 

 ゆうちゃんは結婚し、男の子のお母さんになり、離婚して、実家に帰っていた。 元旦那さんは何だかひどい人のようだった。また、脳の病気で大きな手術も経験したとのことだった。

 

 同じ年数生きてきた私達だったが、紺の制服に身を包み、お互いに大好きな男の子の話をして盛り上がっていたあの頃とは、状況が随分と異なってしまっていた。

何だかゆうちゃんがとても大人になったように思えた。

 

 ゆうちゃんはお土産物屋さんでパ-トをしながら子供を育て、私以上に新たな出会いに積極的だった。

私はあまり交友関係が広くなかったので、ゆうちゃんとの付き合いが再開したことが何より嬉しかった。

 

 ゆうちゃんも私も、「これからだよね!」って感じだった。

 

 ある日、ゆうちゃんのお母さんから連絡が入った。

ゆうちゃんが亡くなったというのだ。

ついこの間、あんなに元気だったのに…

その日は子供さんの学芸会の日だった。 その朝にゆうちゃんは心不全の為、あまりにも突然、旅立ってしまったのだ。

 

 人の一生というものは様々だと思う。 

その人生が良かったのか、悪かったのかなどと他人が評価出来るものでは決してない。

だけど、ゆうちゃんはあまりにも駆け足でその生涯を駆け抜けてしまったなと思う。

私も何より貴重な友達を失って悲しい。

 

 あんなに天真爛漫なゆうちゃんが天に召されて、こんな私が生かされている。

どうしてかは分からない…

でも、私は死ぬまで一生懸命生きようと思う。

結局、私にはそれしか出来ないのだから。